空と虹と私達の未来

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空と虹と私達の未来

敦賀さんのバイクの後ろに乗り□■□高原へと急ぐ。 これから起こる事や待ち受ける物に鼓動が速くなる。 宝物を見つけた子供の様に胸が高鳴る。 『お疲れ様‥着いたよ(笑)』 『あ‥ありがとうございます。』 『俺も一緒に行っても良いかい??』 『クスクスッ‥はい、是非一緒に来て下さい。』 バイクを邪魔にならない所に停めて、二人並んで丘を登る。 六年前と変わらず有る大きな木が小さな花を咲かせている。 木の側に近づくに連れて胸の高鳴りは大きくなる。 『‥大きくなったねぇ~(微笑)』 『綺麗な花だね(笑)』 『はい、本当に‥』 敦賀さんは手の届く場所にあった花を1つ摘むと私の髪に差した。 『うん‥凄く可愛いよ』 『/////』 恥ずかしくなり木に視線を戻し手を滑らせれば彫られた跡がある。 『‥??』 『‥どうかしたの??』 『彫られた跡が‥』 そこから先の言葉は出なかった。 言葉の代わりに私の頬を涙が伝う。 『アイツも味な真似してくれるじゃないか‥』 “鈴祢に永遠の愛を誓う‥拓己” 『バカなヤツ‥こうゆう事はちゃんと本人の口で伝えてよね‥』 『‥六年前に彫られたのに残ってるなんて凄いね』 『‥グスッ‥そうですね‥肝心な事は何時も言うの遅いから‥』 『そっか‥』 一際大きな風が吹き抜けて髪に差した花が舞い上がる。 『あっ‥!!』 『へぇ‥』 雨が降った訳でも無いのに、空にはあの頃と同じ大きな虹が架かっていた。 同じ時間は二度と流れない。 戻る事もやり直す事も出来ないけれど‥。 立ち止まったって良い。 躓いても良い。 進む事を諦め無ければ‥ その先にはこの虹と同じ七色に輝く未来があるから。 『‥鈴祢ちゃん、俺と真剣に結婚を前提でお付き合いして下さい。』 『‥はい(笑)』 先の事なんて誰にも分からない。 拓己みたいに急に会えなくなるかも知れない。 でも、進む事を止めなければ私を支えてくれる存在は現れる。 その事を拓己は私に教えてくれた。 拓己の代わりなんて誰にも出来ないけど、私は今をこの人と歩いて行ってみるよ。 最愛の人の想い出と共に‥‥ 永い恋が終わり‥‥ そして又永い恋が始まる‥‥。
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