兄と風呂と僕

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「家に帰ろう」 先ほどとはまるで別人みたいに、にこやかに話してくる彼に僕は頷いた。静かな住宅街に響く2人の足音が耳障りに感じた。 彼は僕に手を繋ぎながら笑い掛けてくる。 何か裏があると思ってもそれを口に出せない。それは彼もわかっているみたいだから質が悪い。とは思うけれどやっぱり言えないのは自分のせいか、自分に苛立つ。 でも先程の力の差を見せつけられた前では、無理矢理聞き出そうとする事も無理に等しい。 どうする事も出来ず黙って居た。 そして家に着くなり彼は僕に、お腹空いたと駄々を捏ねる。 その瞬間解らなくなる。 外の時の彼と家の中の彼は、どちらが本物なのか。 でも、自分もお腹が空き考えるのを辞め夕食を作る事にした。
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