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だって、いきなり兄が来るからよろしく?待ってよ、普通に考えたって僕に対する嫌がらせでしょ?
と言うよりあの母から産まれてきたのが僕っていう事実を嫌というより有り得ない、グレたくなるよ。
そう思いつつも、ドアを叩く人物がいい加減煩くなってきたから中に入れる事にした。
だって近所の目もあるし。
ドアを開けると勢いよく僕に飛びついてきて
「倫理、兄ちゃん寒かった」
僕の体に巻き付いてきた腕は、本当に冷たかったでも今でも信じられない。
彼が、僕の姉ではなく兄だということを。とりあえず、離してもらって
「ねぇお風呂入れば?」
一応優しい言葉を掛けてみた。彼はまた、僕をぎゅっと抱きしめ
「倫理優しい、兄ちゃんめっちゃ嬉しい」
多分抱きしめるのは、彼なりの感情表現なのだろうと思い、やり過ごすことに出来るわけもなく突き飛ばした。
「沸かして来るからちょっと待ってね」
靴を脱ぎ家の中に入って、お風呂にお湯を張った。着替えをどうしようかと思いながらタオルを持ち玄関にいる彼に手渡した。
「ありがと」
彼はあどけなく笑い、認めたくないが僕の父親椿(つばき)の笑い方に似ている。
今でも思うこいつが本当に僕の兄なのか。
でも、兄なのかもしれない。だって…雰囲気が母に似ているから。
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