兄と風呂と僕

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普段見慣れて居るはずの血が、今は別の物のように感じた。 手が震えただ突っ立て、吐血している彼を見下ろしていた。吐血しているのに彼は僕の腕をきつく握り離さなかった。 彼はやっと咳が止まったみたいで口を拭い、血で濡れた手を後ろに隠すようにして立ち上がりにっこり微笑み掛けてきた。 どうして、もう知ってしまったのに、今でも自分がツラいのに何で笑うの? 僕には理解できなくて彼から目を反らした。 彼は立ち上がり僕の腕を引き、血の付いている腕はまだ自分の後ろに回して、僕の腕を握っていた手を素早く離し僕の背に手を回し抱きしめた。 とっさの事で反応が遅れたが僕より身長の高い彼を睨みつける。 彼は僕を見て鼻で笑った。 「あのさ、僕が弱いと思って気抜くなよ?」 首元を捕まれ宙に上げられる。 地に着いていない足が揺れる逃げようともがくが彼の力は強くなり僕は壁へ背中をブツケられた。 彼は僕を見て嘲笑う 「倫理、油断するなよ。僕は倫理より強い、だから今倫理が逃げようともがいても逃げる事なんて出来ない」 彼が先程の彼とは全くの別人に見え頭の中がオカシくなりそうで苦しい。
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