依頼壱   

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公園の片隅、子供に乗られることもなくなったブランコに、誰かが乗っている。 時刻は午後一一時五○分一二秒。 「はあ……」 ブランコに乗り出して、三○回目以上になる溜め息。 疲れた。 それが彼の口癖だった。 彼こと、佐久間純一は、会社を『今日』、突然クビにされた。 よく言うリストラと言うものだ。 妻子が居るというのにクビにされた。こんな状況で、どうやって家に帰れようかと言うので、寂れた公園にいるのだ。 「疲れた……いや、もう疲れたって言わなくてもいいのか……ははは……」 あまりのショックに、半分壊れ気味。今にも自殺しそうな雰囲気だ。 時刻は一一時五九分三○秒を回った。 さてさて、彼を絶望の縁から、『どれだけ』助けて差し上げられるでしょうか。
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