勿忘草の想い出

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それは私にゆっくりと手をかけると私の傷付いた腕を手にとった 私は今からいったい何をされるのだろう…と思いつつ抵抗する気力もなくされるがままになっていた 「あ、意外と大人しいんだ」 などと言いながらそいつは私の傷口にゆっくりハンカチを巻いた その行動の意外性とその手つきのあまりの繊細さと優しさに私は驚きを隠せなかった 「よし…これでとりあえずは…ちょっとそのまま大人しくしてろよ」 と言いながらポカンと見上げている私を優しくなでそいつは足早に去って行った 何だったんだろう…今のは… まぁたぶん俗に言う<ニンゲンの気まぐれ>というやつだろう でもどんな<気まぐれ>でも腕に巻かれたハンカチはあまりに温かくて不意に涙が零れそうになった
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