勿忘草の想い出

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それからというもの私は毎日この公園に通うようになっていた(因みにタオルは私の住家へと運んでおいた) 別に行く気がなくとも勝手に足がそこへ赴いてしまうのだ 彼は週に一,二度その公園に顔を見せていた 来る時は決まって薬と新しい包帯と缶詰を持ってきてくれた たまに奮発してマグロの缶詰を持ってきてくれ、そのたび私は尻尾を振り振り喉を鳴らし彼に擦り寄った 私の怪我が治った頃には彼を私の住家に案内したりもした 彼はタオルに気付くとにっこり笑って何故だか嬉しそうに私を撫でた その頃から彼は頻繁に会いに来てくれるようになった 週に一度が二,三度になり、ほぼ毎日会いに来てくれるようになった 一緒にいる時間も数分が数十分になり、一時間を超えるようになっていた 私は私から頻繁に彼に擦り寄るようになり、彼に抱かれる事に抵抗を抱かなく、寧ろそれが心地よいと感じるようになっていた 私たちの間は少しずつ…でも確実に縮まっていった そして私は少しずつ…でも確実に彼に惹かれていった…
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