Logic.01-盛夏の一刻-

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「はぁ…はぁ…はぁ…。」 少年は日光が木漏れ日程度しか照射してこない人通りの少ない路地裏で とにかく息をあげながら壁に寄りかかり座っていた。 「おい紅助どした?(笑) ずいぶんとお疲れじゃねぇか。」 紅助と呼ばれた その少年は、不慮の事故から少女を救ったは良いものの 助ける手段とは言え その少女に思いっきり抱きついた事に羞恥心を抱いていた。 「さ…さすがに不慮であれ、抱きついちゃったのは……。」 「ハハッ! だからって逃げることはないのにな(笑)」 紅助はその薄笑い含む冷やかしの言葉に軽くムッとし、 「…もう その話は終わり!」 男は紅助の反応に再び微笑しながら答えた。 「へいへい。 まっ気にすんな!(笑)」 「…んもぉ。」 紅助は頭の中に生じたもやもやを断ち切るようにスクッと勢いよく立ち上がった。 立ち上がった瞬間、紅助の体内で何かが反応した。 ッォオオ…… (なっ!!) 紅助は足元が崩れたかのように前方へふらついた。 (ッ……。) 「お…おい 大丈夫か!?」 紅助は片手で胸を抑え もう片方で そのよろけた体を壁で支えながら立ち上がった。 「う…うん…何とか…… エンド…やっぱりまだ …。」 「ああ……やっぱこいつを使うだけでもまだ体が慣れちゃいねぇんだ。」 紅助は邪悪な何かに蝕まれたように意識の不安定な状態と自由が利かない体をかばうように 再び壁にもたれしゃがみながら、エンドと呼んだ男の声がする 腕に付けてるのブレスレットを脊梁の表情で見つめた。 そのブレスレットはいくつにも連繋された小さめの漆黒の鎖とそれを螺旋状に純白のリボンが包むような形状をしており 鎖とリボンの端と端のつなぎ目にある深紅の丸い宝玉が煌々しく見栄える様にデザインされている。 「慣れるしかないよね。 じゃなきゃ 朱雀の使者として…。」 「皆まで言うなって。 分かってるさ。とりあえず少し休め。」 「………うん。」 そう言うと紅助は体制を立て直し ゆっくりと壁にもたれかかり 静かに眠りについた。 (僕がしっかりしな…きゃ…いけな……。)
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