Logic.01-盛夏の一刻-

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道沿いに等間隔で植えられている針葉樹の下をだらだらと歩いていた少年は、何かに気付いたかのように急に顔を上げ 姿在らぬ者へ同意を求めた。 「エンド…これは…」 男は答えた。 「ああ、やっぱり何かあるな この町。 歪みがまた大きくなってきてやがる。」 何が起きるか分からねぇから 警戒しとけよ。」 「…うん。」 少年は 街の賑やかさとは到底同調出来るとは思えないほどの表情を顔に浮かべながら 塗装が軽く風化している古ぼけたマンションの曲がり角を右折しかけた その時。 ……ギッ !! 少年は 感覚的に即座にその金属の疲労破壊らしき音を感じ取った。 そして 目の前には、その一つ奧のマンションの5階付近にワイヤーを使い 窓からグランドピアノを今まさに部屋に入れようとしてる。 そして その真下にいる一人の歩行者。 少年は脳での判断より先に その嫌な直感だけを頼りに、目の前の歩行者へと全速力で突っ込んでいった。 キリキリキリ…ブツッ!! 少年の直感通り 支えていたワイヤーがはちきれ、ピアノが歩行者へと落下していった。 そして彼はその歩行者へ思いっ切り飛び込み 自分が地面側になる様に意識しながら全身で滑り込んでいった。 その僅か0.5秒にも満たない時間の後、 落下により起こった凄まじき大破音が辺りの空気を震撼させた。
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