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周囲の人々は一体何が起きたんだと慌ただしくざわついていた。
「っててて……。」
自分のとっさの判断で 歩行者のクッションとなっている少年は轟音による激しい耳鳴りと突発的な行動により、多少フラフラしていたが、一応 安否を確かめようと声を掛けた。
「…だ…大丈夫です…か?」
少年は声を掛けた後 上体を起こそうとした。
「…………あれっ?」
ふと微かに感じた その清らかな優しい香りに心地良くなりながらもようやく薄れた粉塵の中 目の前の彼女を見て 冷や汗をかいていた。
「あっ……その……えっと…」
少年はその突然降りかかった恐怖が原因であろうか 自分の上で静かに眠っていた 自分とおそらく同年代であろう少女を素早く そして優しくどけて、
「あっ!! お…おじさん…あ、あと…宜しくお願いします!!」
「えっ!? ちょ、ちょっと君!!」
駆け寄ってきた一人の男性に一言言い残し、頭から湯気でも出そうな程に赤面しながら その場から人ごみを払いのけ、一目散に走り去っていった。
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