一日目

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あの日、僕は夢うつつのままに彼女に会い、何が何だか分からないうちに、気づけばまったく見知らぬ教会にいた。 道中何度ブラックアウトしただろう。 そこまでの経緯はほとんど記憶にない。 ……いや、正直、冒頭で書いた分だけで他の"いろいろ"どころかそれ以前のことも覚えてない。だから"最初"っていうのは、今覚えてる限りでの最初。 教会では、神父であるというちょっとふにゃふにゃした人と、真面目で気の強そうな感じのシスターさんに会った。 名前は……何だっけ。忘れた。 名前は忘れたけど、僕はその神父様を忘れはしないと思う。 それは荒野で生き倒れていたらしい僕を介抱してくれたからとか、そんな素敵な意味じゃない。まったく底意地が悪いからだ。 ふにゃふにゃしたような人だと思ったけど、目が覚めた初っ端から僕は騙された。   「レンツール共和国から来た旅人じゃないかい?」   なんて神父様が聞くもんだから、僕としては説明するのも面倒だし、誰かが話すなと言っていたような気がしなくもなかったような感じだから「そうだ」とその時は話を合わせた。 そしたらどうだろう、その神父様はここがレンツール共和国だと言うじゃないか。 僕は本当に小さくだけど舌打ちをした。 何のつもりだろう、この人。 そうして誓った。 いつか目にもの見せてやるから!と。 こう見えて根に持つタチの僕(自覚してるんです)は、寝起きの不機嫌さも加わって神父様を脳内ブラックリストのトップへ丁寧に書き込んだんだ。
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