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「……あっちゃん?」
寂しげに僕の名を呼ぶ声。前を向いたまま、僕はそれに応えた。
「ん? どうしたの?」
「ごめんね、ごめんね……。ぐすっ……。手……気持ち悪いよね……?」
彼女の声は切なかった。
みなもの悲しみと苦しみが、嗚咽まじりの声から伝わってくる。
後悔とか、そんな生易しい感情じゃない。僕のしたことによって、全ては変わってしまった。
だからもう、僕は何があってもみなもを苦しめない。
「……そんなことないよ。みなもといつまでも繋いでたいな」
「うん、うんっ……ありがと。私も、最期まであっちゃんと繋がってたい」
今抱きしめたら、きっと彼女は壊れてしまうだろう。
だから、代わりに僕は繋いだ手に力を込めた。
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