きっかけ

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なりは大人びているのに、なぜか子供扱いされる自分。 真剣なのに茶化されて。 ムキになればなだめられる。 同い年の友達から、少年と接するように自分と接される。 別に、友達だから許せる。 だけど、やっぱり一人前の男だと、胸を張れないから。 (こんなくだらないこと考えるから幼いと思われるんだろうな…) 堪らなく腹がたった。 …自分に。 エレベーターに、サラリーマンの後から乗り込む。 ボタンを押そうとして、サラリーマンが彼女の家と同じ階のボタンを押した。 そそくさと手をポケットにしまい込んで、床を見つめた。 シンプルが基調なのか、自然が基調なのか、床は木目調の濃紺になっている。 スポットライトが白い壁をオレンジ色に照らしているから、より一層夜だという認識を受ける。 ――チン、と古風な到着音。 10階です、と現代風な音声案内。 時代錯誤を感じながら、サラリーマンに続いてエレベーターを降りた。
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