涙に染まる

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ホテルを出て 暑い日差しを受けながら宛もなく歩く 何となく公園の方へ向かって 乳母車押して、弟と同じ年くらいの男の子と手をつないだ女の人とすれ違う なんだか胸が痛い。 こんな姿弟には見せたくない そう思った。 公園内の噴水に着いた。 アイスキャンディーを買って靴を脱いだ ぬるい噴水の池に足を入れた。 鳩が首を縦に振りながらこっちに来る お金はあるけど餌はない。 鳩をじっと見ていると 一羽、また一羽と空から降りる。 ラムネアイスが滴り、腕を伝う 伝って地面に落ちたものを鳩が探す 池の端っこに腰をかけ、アイスを食べながら 池をバチャバチャと足をバタつかせる。 もうそろそろ昼下がり頃 太陽が私の肌を焼き付ける。 暑くてずっとはいられない。 コンクリートからもやのように見えてくる気がした 体が重い。 ゆっくりと立ち上がり池と反対側に座り、足をパタパタと乾かす 小学生が一人本を読みながら歩き、近くに座った 蝉が鳴いていても見向きもせず ただ本を読む
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