涙に染まる

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気づくと泣いたまま寝ていた。 涙で濡れた紙が何枚かある。 絵本に手を伸ばし最後のページだけ開いてみた 私には無縁なことだと思った 誰かのために死の道を選ぶなんて あり得ない でもこの物語が好き どうしてだろう。 もう夕暮れで字が読めないくらい 部屋の中は暗かった。 電気をつけて部屋気に着替える お金は机の奥にしまっておいた 着ていた服を見ると 赤いものが点々と付いている シーツにも 下着にも よく見ると太股の内側がうっすらと赤みがかっている 慌ててトイレに駆け込んでしゃがみ込むと 鮮血がポタポタと便器を染めた。 どうしよう。 慌ててお風呂に入ろうとすると お父さんが珍しく酒を飲まずに茶の間で座っていた。 足下に冷たい空気が走った。 「ご飯出来たよ。」 お母さんの優しい声も届かない 私の体は一瞬で緊張し始めた。 「話があるから座りなさい。」 お父さんは意外と普通だった 今日は大丈夫かもしれない。 でも油断は出来ない 黙って目の前に座った
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