涙に染まる

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「もう中3になって、高校はどこ行くのか決まったのか?」 「まだ、決まってない」 自分の思ってることが言いたくても震えてしまう。 「何になりたいんだ?」 「将来の夢はないよ。」 「今はなくても良いから、せめて高校は出なさい。」 「夢もないのに学校に行ったらもったいないから、だからその分働きたいと思ってる。」 お父さんは少し動きが止まった。 いつ何をされても良いように構えた 「今中卒でどこも雇ってはくれない。」 お母さんも気が気ではないのかおやつを作り始めた。 「そしたら近くの高校は就職率が良いからそこにしなさい。」 「でもお金がやっぱりかかるでしょう?お金ある程度出来たら、定時制に通うつもりなんだけど。」 「お金のことは子供が気にする所じゃないんだ。」 「うん、わかった。じゃあ第一志望にしておく。近い方が交通費もあまりかからないだろうし。」 「そうか。夏休みは始まったばかりだから、しっかり考えてなさい。」 私は頷いて顔を見た。 これといって変わった様子もない ただ悲しそうには見えた気がする
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