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翌日、部活に出た
まぶしいくらいの日差しが部室に入ってくる。
ぼーっとしていると先生に呼ばれた
部活の顧問の先生はうちの学校にふさわしくないくらい優しい
「お前、最近どうしたんだ。顔色悪いぞ。」
「すみません」
「最後のコンクールだ。弟が入院して家が大変なんだろうけど、無理しない程度にがんばりなさい。」
「はい。」
本当は先生
塾に行かなかったことも知ってるはず。
お母さんが話してるはずだから。
優しくしないで
ごめんなさい。
ただ一人で居たいだけだったはずなのに
気付けば知らない人とセックスしている
私、何がしたいか分からない。
「先生、、、」
年を取っている先生は何をするのもゆっくりだ
「どうした?」
「、、、がんばります。」
「困ったことがあったらいつでも来なさい」
その言葉が急に怖くなった。
私は慌てて顧問室を出てただ夢中に練習をした。
昼のチャイムが鳴り練習が終わった
友達に帰ろうと誘われたが断った
誰もいない夏休みの教室
熱い空気が止まって充満している
「お前のお兄ちゃんは元気にしているか?」
先生がやってきた
「はい」
「部活が大好きでな。おまけに勉強もできた。兄弟は似ている、、、でも似ていても決して同じではない。兄ちゃんは兄ちゃん、お前はお前だ。それを分からん奴は何も分からん。」
何が言いたいのか分からなかった
「プレッシャーにやられないお前の方が優れている。」
先生は窓の外を見ている
「出来なくて当たり前。それが人間だ」
先生自身を照らし合わせていたのかもしれない。
無言で先生の顔を見た
「早く帰って、いっぱい遊びなさい。」
「はい。さようなら」
私はすぐに去っていった。
誰もいない川の通る道を歩いた。
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