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お兄ちゃんが寝る支度をすませるまで私は起きていた。
話は終わらないままお兄ちゃんの部屋に行く
煙臭い部屋
「いる?」
「うん、もらう。」
よく、私はタバコをもらう。
火を付けて吸う。
肺が一瞬収縮して痛みが走る感覚があった
赤い箱のマルボロ
「ちょっとキツいんじゃない?」
「うん。でも慣れるでしょ。」
高校の話を色々聞きながら
部屋には煙が漂う。
「コンクールの練習あるんだから、寝た方がいいんじゃねぇ?」
「いいの。明日行かないから。」
「さぼり?ちゃんとでないとダメだろ」
笑いながらお兄ちゃんは言った。
「みんなには内緒にして。明日札幌に行くの。」
「まあ兄ちゃんもさぼったけどさぁ、明日くらいにしとけよ。」
「そのつもり。」
「どっからその金が出るんだよ。」
私は笑顔で
「闇の取引。」
と答えた
少し間が空いた後に
「お前いつか体壊すぞ。やめとけ」
闇の取引の意味はすぐに分かったんだと思う
優しい言葉だった。
普段あまりしゃべらないお兄ちゃんなりの
心配の意味だったんだと思う
ごめんね。
分かってるんだけど、、、
タバコの火を消して
自分の部屋に戻り
布団にうずくまった。
お兄ちゃんの部屋の電気は消えた。
私は目をつぶって
雨の音を楽しむ
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