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朝の光がカーテンの隙間から差し込んだ。
6時頃
いつもと変わらない外のにおい
松のにおいと草のにおい
少し遠くからブーンと
草刈り機の音が聞こえる
田んぼの近くの草刈り
昨日の雨は嘘のように晴れている
私はすぐに身支度を始めた。
お兄ちゃんからお下がりの財布に
お金を入れた。
財布に似合わないくらいの金額
塾に行く時の鞄に入れ
着替える。
出血はまだ続いているようだ
化粧の仕方が分からない
だから
少し色の付いたリップクリームを塗る。
つやつやと小さな唇が
大人びて見えた。
鏡の中の自分はやっぱり子供で
悔しかった。
ため息を吐いて部屋を出てアヤに電話をした
「もしもし、あや?」
「おはよう。今起きたの」
「私支度終わったから、待ってようか?それとも家に行って大丈夫なら行くよ?」
「うん、じゃあアヤ支度するから来て。」
「うん、わかった。」
アヤはまだ眠そうだった。
まだ誰も起きて来ない朝。
書き置きをして家を出た。
─リナは、部活後にアヤと遊びに行ってきます─
実は少し怖かった
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