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自転車でアヤの家へ向かう
少し湿ったにおいに
ラジオ体操の音が聞こえる気がした。
本当は不安だった私の心の渦
少しずつ大きくなっていく。
自転車をこいでいるから息が上がっている訳じゃない
不安で本当は怖い。
でも冒険心の方が強かった。
アヤの家が少しずつ近づく
誰も通らない国道の車道を
逆走した。
白のラインが点滅するように見えた
砂利道を越え、アヤの家に着いた
アヤの家の玄関が開いていた
一生懸命にお弁当と朝ご飯を作る
アヤのお母さんが見えた。
「アヤ、リナちゃん来たよ。りなちゃん、入りなさい」
「おじゃまします。朝早くに申し訳ありません」
一礼して家に入った。
「ドタバタしてごめんね。ご飯食べてきてないしょ?食べなさい。」
丸くゆるめに握っているおにぎりを出された。
「すみません、いただきます。」
私はアヤのお母さんが作ったおにぎりが大好きだった
アヤの弟のススム君が泣きそうになりながら
大きな布団の真ん中で起きた。
「ススム君、ご飯一緒に食べよ。」
私はおにぎりを差し出すと
目をこすりながら手を差し伸べて出てきた。
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