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アラモードが来た
ガラスの靴のようなグラスに盛られた
大人の食べ物
とろけそうなプリンが輝いている
「おいしいね」
あやがプリンを口にして
頬を赤く染めた
「さっきのパスタ屋さんのフルーツの方がおいしかったよ」
「そうだね。なんかプリンはおいしいけどフルーツあんまり美味しくない。」
2人はため息をついた
「見た目はきれいなのにがっかりしたね。」
私はスプーンを置いた
南国フルーツが沢山だった
北国で育った私たちにとって
ライチやドラゴンフルーツ、スターフルーツは
決して美味しいものではなかった。
食べ慣れたフルーツだけ口にして
後は残した
ロイヤルミルクティーだけは
格別だった。
「ミルクティーはおいしいね」
「うん。すごくいい匂い。こんなに葉っぱのいい匂いがするなんて思わなかった。」
夜の蝶たちがそれぞれ飛び立った
射止めようとする雄に細い腕を絡めながら
蝶と言うより
毒蛾だったのかもしれない。
雄たちはその毒に酔っていたんだ
私たちは少し休んでから
お会計を済ませた
「お客様、なにか不満な点はございませんでしたか?」
「アラモード、申し訳ないんですけれど、美味しくないです。」
「大変失礼いたしました。どのような点でお口に合わなかったのでしょうか」
たぶん店員さんはイラっとしたんだと思う
ただ本当のこと言っただけ
お金を払っているのは私だし
偽りなく言っただけ。
悪いとは思ってない。
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