6/14
前へ
/48ページ
次へ
しばらくして藤堂さんはコーヒーのカップを二つ持ってやってきた。 「お待たせ」 カップを差し出され受けとり口をつける。 「うまい…」 「よかった」 藤堂さんは俺のすぐ隣に腰かけた。 「あのっ…近いです…」 「気にしないで♪」 「気にしますよ」 顔が熱くきっと真っ赤になってるんじゃないかと思い俯いた。 「意識…しちゃう?」 キスされるんじゃないかと思うほど顔が近付く… 「意識なんて…」 「僕はして欲しいよ…信一君が好きだから…」 「えっ?!」 顔を上げると真剣な目をして見つめていた。 その目を見るかぎり嘘偽りは感じない。 「ずっと君だけを見つめてきた…あの事故以来ずっと…」 「嘘だろ?」 昨日まで藤堂さんの存在すら知らなかった。 見ていたなんて…俺は困惑した。 「嘘じゃない…あの日からずっと…――――
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

732人が本棚に入れています
本棚に追加