59人が本棚に入れています
本棚に追加
街から少しはずれた薄暗い路地裏。
ここが私の目的地。
私はそこにちょこんと座り“ある人”が来るのを待った。
さっきまでとはがらりと変わり、静かで少し淋しげな場所。
でも、あの街中よりは好きだ。
「ニャーオ」
大きなあくびをする私。
眠いなぁ。
でも起きてなくっちゃ―
「あ、今日もいた」
―来た!
その声にすぐに反応した私は毛づくろいをして、背筋をピンと伸ばした。
それを見た彼は「かわいい」と言って笑った。
彼の名前は藍沢 裕真(アイザワ ユウマ)。
優しくてカッコイイ、私の大好きな人。
彼はいつも学校帰りにここに来て、私と遊んでくれる。
「クロ太、今日も元気にしてたかー?」
「ニャー」
頭を撫でられ、気持ち良さのあまり、声が出てしまった。
幸せだなぁ。
でも裕真くん、私の名前違うんだけど…。
最初のコメントを投稿しよう!