59人が本棚に入れています
本棚に追加
仲間がいなくなって一人ぼっちになった私。
そんな私を見つけてくれたのが裕真くんだった。
三ヶ月前。
暗い路地裏でお腹をすかせて倒れこんでいた私。
たった一人でこの都会の中を生き抜くのは大変なことだった。
「ニャー…ニャー…」
私は救いを求めるように弱々しく鳴いた。
つらい…ひとりは嫌だよ…。
「ニャー…」
さらに弱まっていく声。
もうだめだとあきらめかけたその時、
一人の少年が私に気付いてくれた。
「どうしたの?大丈夫?」
彼は私の頭を優しく撫でた。
それは、私にとって初めての感覚だった。
あたたかい…。
猫に涙なんてない。
だけど確実に私は泣いていた。
ただただ、嬉しくて泣いていた。
その後、彼は私に飲み物と食べ物をくれた。
それはたいしたものじゃなかったけど、私にとっては今までで一番おいしかった。
この大都会で初めてヒトのあたたかさに触れた瞬間だった…。
最初のコメントを投稿しよう!