ナエ

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深夜1時 「暑い…」 クーラーのタイマーが切れた それでもまだ寝付けない スイッチを付け直そうと立ち上がる ふと昼に見たテレビの事を思い出した この季節よくやってるやつ 納涼肝試し!とかナントカランドのお化け屋敷!とか あーゆうのくだらないけど好きだ 造りものだってわかっててもビビってしまうあの感じ 僕はSか?…いやMか また思い出した 駅の近くに墓地があったっけ 僕は付けたばかりのクーラーをまた消してケータイだけ持って外に出た なにやってんだろ 何かが出るとか特におもしろい噂もない小さな、どこにでもあるような墓地 「はあっはあっ」 まったく…馬鹿みたいだ もうすぐ21になるのに僕は… 怖いもの見たさに深夜にランニング? 体は大人!頭脳は阿呆ガキ!? 高校の時、周りの奴らは金縛りにあったとか 死んだ祖父を見たとか そんなの見た事ないあった事ない 信じられないね、でも存在してほしい わけわからん ぐるぐるとうろつくのに疲れた僕は目についたちょうどいい石段に腰をおろした 深夜1時59分 やっぱりいるわけないか 帰ろうと立ち上がり尻をはたきながら僕はふと振り返った 妹尾 苗 そこにある墓石にはそう刻んであった 「セノオ、ナエ?」 あれ?座る時墓石なんかあったっけ? いくら僕でもこんなとこに座るわけ… 気付かなかっただけ…か その墓石は他の物とくらべると確かに小さくて古い感じだった 「ナエちゃん」 名前の感じから若い子だろうと勝手に解釈 いやいやそれ以前になに話かけてんだよ! 「ナエちゃーん!」 はたから見られたらどう思われるだろうな 「ナエちゃ」 「なに?」 えっ?
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