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「俺が言ったのは、お前、林道 龍樹くんって言っただろ?その"くん"付けが鳥肌立つぐらい嫌いだから、違う呼び方してくれって意味。分かった?」
大分短くなった煙草を
床に押しつけ、火を消し、
グリグリと足で踏みながら
林道 龍樹は丁寧に
説明してくれた。
「えっ..!.じゃ、じゃぁ、名前で呼んで良いの..?」
まだビクビクしつつも
笑顔にドキドキしていた私は、
恐る恐る聞いてみた。
「おう。好きに呼べよ。そん変わり。お前の名前も教えろよな!」
-ドキンッ-
さっきから煩い。
私の心臓。
その人が...
林道 龍樹が
微笑んでくれた。
それだけなのに。
「私の名前は..たッ高瀬 麗奈..です。」
風で揺れる髪を
耳にかけ
目を泳がせつつ
私は林道 龍樹を見て
答えた。
「...麗奈か。なんか、お前とは仲良くなれそーな気ぃするわ。」
-ドキンッ-
ドキドキ
ドキドキ
煩い。
私の心臓。
私は龍樹の
太陽より眩しい笑顔を
何故か直視出来ず
ただ、下を向いて
火照っていく
頬を隠していた。
私は..
この時はまだ....
気づいてなかった。
これが、
"運命の出会い"
ってやつで。
この気持ちが
"恋"だという事を。
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