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第一部 『白』
丁度、今くらいムシムシした暑苦しい夏でした。
前章(屋根裏)でも書いていたと思うが、私と従姉妹は同い年という事もあり、夏休みや冬休みはしょっちゅうどちらかの家に泊まったり、どちらかの家族とどこか泊まりがけの旅行をしていたのです。
強いて言えば、私の家に来る方が多かったかもしれない。
彼女の兄とは歳も離れていたこともあり、あまり遊ばなかったからだ。
だが、その年は最初で最後の、3人で過ごした夏だったのかもしれない。
私と彼女は先に、私の両親と海に泊まりがけで行き、その帰りに彼女の家に行く事になっていた。
その晩は、私の両親も含め、賑やかに食卓を囲んでいました。
そんな時、ふとした事から彼女の兄の話題になったのです。
彼女の兄は、幼い頃から優秀でした。
確か、その頃から既に眼鏡を掛けていたと思います。
夏だというのに、多少日焼けはしているものの、他の子と比べてもまだまだ色白で、友達はいるようだったが、私は殆ど勉強している姿しか見た事がありませんでした。
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