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窓を、なるべく音が出ないように注意を払い、静かに開ける。
懐中電灯のスイッチを入れ、まず窓から顔だけを出した。
辺りは静かになっていて、すでに路上で遊ぶ、子供の声は聞こえてはいなかった。
彼女はすぐに洗濯機の裏側に目をやったが、やはり暗くて何も見えない。
懐中電灯を持った手を、そっと隙間から出して、洗濯機の裏側を照らしてみた。
洗濯機の裏側は、これといって凹凸(オウトツ)がある訳ではなく、ステンレス製の板が取り付けられている為、そう複雑な構造はしていない。
ただ、埃にまみれているだけだった。
あの時に見た『何か』は、全く見当たらなかった。
いったい何を見たのか、自分の頭の中で、整理も理解も出来ず、まるで一瞬、夢でも見たか、幻を見ていたのかと思うしかなかった。
しかし部屋に戻ると、きちんと上から下までボタンが留められたブラウスが目に止まり、その出来事が現実の事だと証明するかのように、そこに置いてあったのです。
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