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かなりの緊張と興奮が、彼女の身体中を駆け巡っていた。
息を止め、顔の前まで携帯を持ってくる。
アップで撮ってしまうと、『小さいオッサン』のサイズが判らなくなってしまうので、ホースの止め金と、少し洗濯機が入っていた方が分かりやすいと思い、微妙にアングルを変えながら、ベストポジションまでもってきた所だった。
「よしっ!」
彼女は心の中で、ガッツポーズをとってそう叫んだ。
と同時に、息が苦しくなり、フーッと吐き出してしまった。
彼女自身は、極力気を付けて吐いたつもりだった。
緊張と興奮状態の中、どれほど息を殺し、吐き出したのかは私にも見当は付かないが、結局、その吐いた息が、その場の空気を揺らし、『小さいオッサン』は振り返ってしまったのだ。
ビックリした感じの『小さいオッサン』は、やはり咄嗟に立ち上がり、前回はそのまま後ろを向くと落ちて行ったのだが、今回は一瞬彼女と目を合わせたのです。
「待って!!」と、彼女は言ったのだが、すぐに彼女とは反対側の、洗濯機の側面の方に落ちて行ってしまいました。
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