プロローグ

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――目が覚めるとひどく青い空が見えた。一瞬、ここは死後の世界かと思ってしまったぐらいだ。 「おい! 目が覚めたぞ!」 白いヘルメットを被った男が俺に気が付いたようだ。まるであり得ないものを見る目付きに俺は戸惑った。 「き、君! 大丈夫かい!?」 大丈夫なわけがないだろう。さっきまで火あぶりになっていたのだから。 何故か男は俺の腕を握って離さない。 少しキツいぐらいの痛みに、頭が覚醒してきた。 「み、皆……家族は……」 「……大丈夫。安心しなさい」 よかった、無事なんだ……なんて思うわけがない。俺の目の前で母さんが部屋に閉じ込められ、弟が屋根に潰されたんだ。無事であるはずがない。 この男はウソつきだ。 「い、痛っ……」 さっきから男の手が俺の腕を掴んでいる。どこか焦っている様子の男は、ようやく俺が痛がっていることに気が付いた。 「はな、して……!」 「……あぁ、わかった。君が離したら離してあげるから。さぁ、離すんだ」 何を言っているのかわからない。離すもなにも掴んでいるのはあんただけじゃないか。 が、違和感を感じた。 俺は、なにか持っている……? 男の手を振りほどき、俺は『右手』を見る。 男が静止の声をあげるがもう遅かった。 まだ10歳前後の俺が見たものは―― 最後の瞬間まで握っていた、 その先がない、父さんの右手だった。
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