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「ほら、そこの重要情報読んでみろ」
「あー、わかったわかった。…………」
ミカドは黙り込み、眠たそうだった目が真剣味を帯びる。
「なんだ……この不幸な家族は……。火事で草壁家の長男……『以外』が死亡。引き取られた祖父母は交通事故でまたも長男『以外』死亡……」
さらに不幸は続く。その記載は二ページにも及んだ。
「今じゃ草壁家はこいつだけ。しかも亡くなった家族の内、二人が『死期通知』を受け取ったと記録されている。……呪われてるよ。この家族は」
男の言葉に野次馬達がざわめく。それもそうだ。本来、『死期通知』は家族内でも何代も続いて、その内に一人いるかいないかの確率なのだ。このケースは異常ともいえる。
「目の前で死んだ家族だって何人かいるようだから、そいつはきっと壊れてるよ」
そして、皮肉にも草壁家の中で奇跡的に生き残った彼ですら『死期通知』で死ぬ運命になってしまった。あまりにも理不尽な現実に、ミカドは苛ついた。
バン! とテーブルを叩き、ミカドは立ち上がる。
「お、おい!? どこ行くんだよ!」
「カミサマに文句言ってくるんだ」
相当頭にきているのか、野次馬の静止も聞かずに食堂を後にする。
「ちょっ……! 待てよ! 何怒ってんだよ!? こんなの日常茶飯事だろ!」
「アキヤマ」
立ち止まってミカドは静かに男の名を口にする。
静かに、ただ冷たさを纏って。
「これは異常。異常は正さないとならない。だから直訴するんだ」
アキヤマの静止を聞かずに、ミカドは神殿を駆け抜けた。
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