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大きな音がして神殿のドアが開く。
その中には一人の男が机の上の書類を整理していた。
ミカドはツカツカと男に歩み寄り、荒々しく礼をする。背中まで伸びた髪が宙に舞う。
「恐れながらカミサマ?これはどういうことだ」
全く恐れてはいない態度でファイルを机に叩きつける。
「……はは、どういうこと、なんて言われても……そのままだよ」
飄々した威厳のない態度で男が苦笑いをする。
その態度が気に入らないミカドは再度机を叩く。
「有り得ない、この家族は不幸にもほどがある」
物凄い剣幕に男は唸る。
「だってもう決まったことだし、運命なんだから仕方がないじゃない」
「取り消せ」
は? と男は耳を疑う。
「取り消せ。彼の死亡予定を! こんなのおかし―――」
「ミカドちゃん」
途端に男の雰囲気が変わる。ただ名前を呼ばれただけなのに、威圧感がある。先程のヘラヘラした態度とは考えられない威圧感だ。
「君は、勘違いしているんじゃないかい? 『死期通知』は誰かを死に陥れるのではなくて罪を償うための寿命通知だよ」
「わかっている! だけど……」
「運命は」
またもミカドの話を無視して男は続ける。
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