零下~BELOW FREEZING POINT~

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「もう帰れるかしら…」 ヨーコが呟いた。 「早く帰ってシャワーでも浴びたいわ」 疲れ果てた様子でアリッサも言った。 ターンテーブルは上昇を続けしばらくして地上で止まった。 シャッターが閉まっていたので開ける為に三人は一旦外に出るのを余儀なくされた。 「どこかに操作する所があるはずだ。手分けして探そう」 その時はまだ、ターンテーブルの分厚い鉄板を破ってさっきの生物が追いついたのを誰も気付かなかった。アリッサが 「もう変な化け物は出てこないわよね」 と独り言を言った時、その生物はみるみる巨大化していった。 猛烈な勢いでそれは成長していき足が生え、右手が伸び、背中が沸騰した湯の様に盛り上がり、背中の一部が裂けたと思ったらそこから巨大な眼球が現れた。 「何だ!コイツは!」 ジョージもいきなり現れた乱入者に驚きを隠せなかった。 「Gウィルス…でも制御すればあんな姿には…」 ヨーコが呟く。 「何か思い出したの!」 アリッサが問いつめた。「私は前にここで働いていて…生物兵器達の実験に携わって…それ以上は…」 「ギシャァァ!!」 G変異体は長い右腕を振り回した。ジョージが食らい弾き飛ばされる。 「大丈夫?」 「まだなんとか立てそうだ…くそ、何て力だ!」 ジョージはショットガンを構えてG変異体に向けて発砲した。 多少は怯んだが致命傷には至らない。ジョージが距離を取ろうとするとG変異体の背中から液体が撒き散らされた。 幸い誰にもかからなかったが側にいたネズミが直撃してみるみる溶けていくのがわかった。 「あまりあいつに近寄るな!溶かされてしまうぞ!」 「最悪よ。何で私がこんな目に…」 ぼやいているアリッサの横でヨーコはザックの中のデザートイーグルを思い出した。使うなら今しか無い。image=57526628.jpg
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