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はじめに
小説にこのような前書きを書くこと自体抵抗があるのだが、敢えて書かせてもらう。
現在、日本各地でナイフを使った通り魔事件が多発していることは、皆さん承知の事実であろう。
事の発端と言ってしまうと語弊があるかもしれないが、あの秋葉原の事件が人々に与えた戦慄と言うものは計り知れない。
そしてあのとき、彼が振り回したナイフが、あそこにいた被害者だけでなく、日本中の人々の中の何かを切り裂いたのではないかと僕は思うのだ。
そしてその切り傷は広がり、数々の模倣犯を生む。狂乱によって、縁も所縁もない誰かの幸福が奪われること、それが当たり前の事件になっている。
そんなことはあってはならない。
この小説は僕なりの怒りの表れである。
猛る人よ、どうか君の狂乱の切り傷が塞がりますように。
――西山コウ
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