焼け付く日差しの中で。

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…暑い ……暑い ………暑い。 ジリジリと照らし出す夏特有の日差し。 目を細めて天を仰ぎ見ると、眩しさに眼孔がやられる。 ダラダラと首筋や背中を伝う汗は止まない。 暑い… こんな時でも元気に飛び跳ねるあいつが人間に見えなくなるのは時間の問題か。 「コター!!アイス買ってー!!」 …本当に…人の域超えてるわ(T_T) 「なっちゃんさ、暑くねぇの?」 俺の問いにもすがすがしいくらいの答えが返ってくる。 「暑くないわけないじゃん!でもさ、夏だからね~。コタといれば暑いの忘れちゃう!!」 …おっと、それは…期待してもいいのかね? 「待ってろ。今買ってきてやるから」 そう言って俺は目の前のコンビニまでダラダラと歩く。 賺さず後ろから罵声が飛ぶ。 「こらぁー!走れ!!年中怠け者!!」 「うっせぇ!!」 少しだけスピードを速めて買い物を済ませるべく入った店内はガンガンに効いた冷房でひんやりと涼しい。 …イッツ…クール…天国と地獄たぁ、この事だ。 その心地良さに再び怠け虫が発動する。 天井を見上げたまま制止する事数十秒。 殺気を感じ振り返るとピタリと窓に張り付く千夏の姿がある。 口パクで彼女はこう言った。 ーー早くしろ!!ボケッ!!ーー …あ~、はいはい。 ようやく汗が引いてきたかと思ったのに。 そりゃないですぜ、お嬢さん。
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