焼け付く日差しの中で。

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そして翌日。 俺は今、なっちゃんを押し倒した状態にある。 ーー何故こうなったのか?ーー 時間を遡ってお伝えしよう。 学校帰り、いつものように俺らはシャーベットの無くなった残骸を手に帰宅する。 当たり付きのハズのシャーベット。 当たりを見た事はない。 玄関前、なっちゃんは言った。 「あっ、そだ。コタ、借りてた漫画返すよ」 「おっ。いつでもいーのに」 そして図々しく玄関先までお邪魔する。 「待ってて」 千夏にそう言われると、大人しく腰を下ろした。 小さい頃と何一つ変わらない千夏の家の匂い。 しかし数分しても千夏は降りて来ない。 仕方なく虎太郎は重い腰を上げた。 勝手に上がり込み、二階の千夏の部屋まで歩を進める。 最近ではあまり来なくなったせいか、少しだけ懐かしさを感じる。 「おーい。なっちゃーん?」 そう呼びかけながら部屋の扉をゆっくり開くと、そこには、四肢を付き押し入れに体の半分を収納しながら返事をする彼女の姿があった。 「コター?ヤバいっ!!漫画紛失!!」 きっと虎太郎がここにいると気づいている。 けれど、態勢を変える事なく尚も探し続ける姿に無機質な返事を返す。 「また?」 ちらりちらりと見え隠れするスカートの中から目が離せない。 …ほら、今日はオレンジ。
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