46人が本棚に入れています
本棚に追加
夏、それは恋の季節。
…でも、ないのかもしれないけど
少なくとも周りの人達は夏休みだと浮れ燥いでいる。
わたしには分り得ない話だった。
いつもと変わらない日常、ただ無駄に消費されていく時間、学校がある日は退屈も少しは紛れているのに、夏休みなんぞ始まってしまえば退屈なこと極まりない。
それに、唯一本音を話せる友人にも会えなくなってしまう。
まぁ、家は近いから会おうと思えば何時だって会えるのだけど…。
アイスの美味しい季節ではあるから、夏は嫌いではない。
え?話し方が大人っぽい?
そりゃ、小説を書くって言うかっ…と、危ない危ない。
いや、違うよ?違う違う。
普段からこんな感じだから。クールビューティーだから、うん。
…にしても、これは遅刻になるのだろうか?
家を出た時間は8時、学校までは15分掛かる。
一本、坂を登るだけで学校には着くのだけど…。
生憎、時計を持っていないから時間が分からないとゆう困った状態だ。
取敢えず…走ろうっ!!
地面を強く蹴り勢いよく走り出した、わたし。
夏の日差と体力の消費から息が荒くなっていくのが分かる。
あまり、人には聞かれたくないし、見られたくもない姿だ。
ふと、地面に向けていた視線を前へとずらすと
キラキラと輝いて、温かな風に靡く少し長めの青が薄くなった、水色に近い髪が視界に入った。
ランドセルの色は黒。
どうやら、男の子らしい。
その青髪の彼の横を通り過ぎる時、何か不思議な感覚を覚えた。
言葉では表せない何か、鼓動が速くなるのを感じながら、学校の門をくぐった。
思えば、これが彼との…ある意味、初めての出会いだったんだ。
彼との出会いで自分が大きく変わっていく事を
まだ、わたしは知らずにいた。
わたしと彼と夏休み
仲間達との不思議で、どこか切ない
夏休みの始まり―…
最初のコメントを投稿しよう!