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向井 蒼…はて、誰だろう?
同じクラスにそんな爽やかな名前の人間が居ただろうか。田中とか鈴木なんて名前が多い我がクラスで向井なんて名前の奴がいただろうかっ!
…あ、なんかテンション上がっちゃった。
取り敢えず、何とか思い出そうと額に人差し指をあて、熟年の探偵さながらのポーズで考えてみる。
その様子を怪訝な表情でじっと見詰めている、鬼神…い、いや鬼崎 侑子。
ふと、わたしの前のタイヤが半分地面に埋まった、跳び箱の要領で遊ぶ遊具に座った侑子の顔に目をやってみる。
こうやって黙っていれば非の打ち所の無い、美少女なのに喋るとただの女子プロレスラーだ。実に勿体ない、嘆かわしい事だ。
『花梨、君は今すぐに性格を矯正した方がいい。生意気すぎるよ、最近の小学生はほんとに…』
頭の中に虫が湧いているんだろうか、汚い声で小煩い小言を言われている気がする。
『酷いわ、あなた…!私、実家に帰らせていただきますっ…』
お前はオカマか。
性別も分からんとは、ほんと謎しかないな。お前はうまい棒だよ、今日からさ。
『え?』
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