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1.特徴
すべてが熱帯から温帯の浅い海に生息する海水魚である。成魚の大きさは全長2cm足らずのピグミーシーホースから全長20cmを超えるオオウミウマまで種類によって差があり、体表の色や突起なども種類間、または個体間で変異に富む。
ヨウジウオ類と同じく、体は環状の硬い甲板におおわれ、凹凸がある。口は小さいが吻が前方に突き出ていて、吻のつけ根に目がある。腹びれと尾びれはないが、尾は長く、ふだんは尾を海藻やサンゴなどに巻きつけて体を固定している。ほとんどの魚は前後に伸びた姿勢をとるが、タツノオトシゴ類は体を直立させ、頭部が前を向く姿勢をとる。この姿が竜やウマの外見に通じることからタツノオトシゴやウミウマなどという和名がつけられたものとみられる。およそ他の魚とかけ離れた外見のため、魚ではないと思っている人も多いが、よく見ると前に曲がった首のあたりに小さなえら穴と胸びれがあり、背中にもこれも小さな背びれがある。
泳ぐ時は胸びれと背びれを小刻みに震わせて泳ぐが、他の魚のようにすばやく泳ぐことはできず、動きは遅い。しかし体表の色や突起が周囲の環境に紛れこむ擬態となっており、海藻の茂みなどに入りこむとなかなか見分けることができない。
浅い海の岩礁域や藻場、サンゴ礁などに生息するが、流れ藻について外洋を漂うこともある。食性は肉食性で、魚卵、小魚、カニ、ヨコエビなど小型の動物プランクトンやベントスを小さな口で吸いこんで捕食する。微細なプランクトンしか食べられないと思われがちだが意外に獰猛な捕食者で、細い口吻にぎりぎり通過するかどうかと思われるようなサイズの甲殻類でも積極的に攻撃し、激しい吸引音をたてて摂食する。
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