病(やまい)

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

病(やまい)

「僕はどこ?きみは、キミは誰?きみひとりなの?」 そこはまっしろで、なにもなかった。ただ〝キミ〟がいてそしてぼくは、僕はどこだ?何もわからない、なにも聞こえない、ただまっしろだった。 「ねぇ、なんでだまってるの?」 返事をしない。変なやつ 「あのね、僕がいなくなっちゃったの。キミ、しらない?」 何もみえない。ただまっしろなだけ 「ここにはキミしかいないね、僕もここにはいないみたい」 そう、何もない。いるのは〝キミ〟ひとりだけ。 「「サビシイ?」」 きみが言った。 「うん。だってここにはなにもないもの・・・」 「「ジャア、ツクッテヨ」」 「つくるって・・・?」 「「ツクッテミセテヨ」」 長い前髪越しにキミの真っ赤な目が僕を睨み付ける 「む、無理だよ!どうやってつくればいいの?」 「「ツクレナイノ?」」 まっしろは、いつのまにかまっかになって。僕の耳の中で何かがうるさくなっていた。 「「ヤクタタズ」」 『役立たず』〝キミ〟は言う。 うるさい何かはよりいっそう大きな音でなる 「うるさい!やめてよ!音を止めて、音を止めてよ!」 怖くなって、泣き叫ぶ 「「ヨワムシ」」 〝キミ〟は壊れた。音も消えた。なにもみえなくなった。ただまっくらに、まっくらになったimage=205040747.jpg
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!