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病(やまい)
「僕はどこ?きみは、キミは誰?きみひとりなの?」
そこはまっしろで、なにもなかった。ただ〝キミ〟がいてそしてぼくは、僕はどこだ?何もわからない、なにも聞こえない、ただまっしろだった。
「ねぇ、なんでだまってるの?」
返事をしない。変なやつ
「あのね、僕がいなくなっちゃったの。キミ、しらない?」
何もみえない。ただまっしろなだけ
「ここにはキミしかいないね、僕もここにはいないみたい」
そう、何もない。いるのは〝キミ〟ひとりだけ。
「「サビシイ?」」
きみが言った。
「うん。だってここにはなにもないもの・・・」
「「ジャア、ツクッテヨ」」
「つくるって・・・?」
「「ツクッテミセテヨ」」
長い前髪越しにキミの真っ赤な目が僕を睨み付ける
「む、無理だよ!どうやってつくればいいの?」
「「ツクレナイノ?」」
まっしろは、いつのまにかまっかになって。僕の耳の中で何かがうるさくなっていた。
「「ヤクタタズ」」
『役立たず』〝キミ〟は言う。
うるさい何かはよりいっそう大きな音でなる
「うるさい!やめてよ!音を止めて、音を止めてよ!」
怖くなって、泣き叫ぶ
「「ヨワムシ」」
〝キミ〟は壊れた。音も消えた。なにもみえなくなった。ただまっくらに、まっくらになった![image=205040747.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/205040747.jpg?width=800&format=jpg)
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