悲恋の頃に…

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1942年- -日本は 太平洋戦争の真っ只中。 勝つ見込みの無い 全く無意味な醜い争い。 男は、 十を過ぎるか過ぎないかと 言うくらいの幼い者から 立ち上がれる ギリギリの年老いた者まで 次々と 戦に狩り出されていった。 そしてここは “第一次前線”。 明日、 下手をすれば 今こうしている時間すらも あ。の次の瞬間には 絶たれるかもしれない 哀れな兵隊達が居る-。 そんな兵隊達の唯一の仕事。 『殺し』。 “いつ  攻撃されるか分からない  いつ  殺されるか分からない     それから逃れたいならば、  早く  國に帰りたいのならば…  敵を、独りでも多く  -殺せ。” そう兵士達は 上の人間に吹き込まれ 互いに悲しみに溢れ 辛さから逃れたい 乱れた心につけ込まれ    踊らされてばかりいた。 しかし、 こういう 刹那の際ギリギリの生活を 続けていると気が狂ってしまう兵隊も少なくは無い。 気が狂った兵隊の指揮は取れる筈もなく ましてや何をし出すか分からない哀れな兵隊達は 殺すしかなかった。 が、 ただでさえ人手不足なのに これ以上 自分の手駒を減らしたくない 冷酷で卑劣な 大日本帝国の総司令部が 出した“対応策”は-…        ・ [慰安婦という物を戦地に送る。] と言う、 簡単で、浅はかで、 残酷極まりない 非情なモノだった。 、
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