悲恋の頃に…

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柩『葵さんと戒くんは顔洗いに  保さんとぞじ-は体洗いに  川に行っちゃったよ。』 葵さんというのは 俺の二つ年上の先輩。 年も先輩だが、 ここに来たのも俺たちよりかなり前。 嫌でも目が追ってしまうくらい 綺麗で細い… ここで生き抜く知恵を たくさん教えてくれた。 戒は俺より一つ上。 なんて-のかな…。 実際、一つしか違わねぇのに 長年一緒に生きて来たって 言うか… 一言で言うなら、 母さんって感じ。 そんくらい面倒見が良くて 世話好きで、心配性。 保さんの歳は知らない。 聞いても教えてくれない。 というか、 保さんに年齢を聞く という行為自体 命に関わる。 柩に前に聞いたときのことを 聞いてみたが、 「恐ろしくて、思い出すのも嫌」 と、一言キッパリと言われた。 そんな恐ろしい事なのかと、 俺も無謀に挑戦した訳だが… ここで語ることが出来ないくらい、 正直恐ろしかった。 けど、はっきり言って 明 ら か に 、 俺等より年上なのに テンションが半端ない。 でも明るくて可愛くて 表情がコロコロ変わって面白い。 黄泉は 俺よりちっこくて テンションMAX変態度MAX。 日々、頭の中はエロ単語、もしくはエロイ事だけ。 毎日毎日、見る度に 何処かへと、 チョロチョロチョロチョロと動き回っている。 こいつも面白い奴なんだけど いちいち突っ掛かってくんのが玉に傷。 でも 決して皆、悪い奴なんかじゃないんだ。 地獄より 地獄みたいな こんなとこにいても、 こうして一緒に居ると不思議に癒されて落ち着く。 俺の大好きな時間になっている。 生きる力 と言いきっても良いくらい。
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