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それから、俺と紺野は、酒を飲みながら談笑していた。
「俺には、4歳になる息子の太一がいるんだ。だけど、産まれる前に再召集されて、一度も顔をみたことがないんだ。だけど中国にいるとき、手紙と一緒に1歳になる太一と妻の君恵が写った写真が送られてきたんだ。」
写真を紺野にみせた。
「おお~お前にはもったいないくらいきれいなかみさんと息子だな。」
俺は、唐突に
「お前のかみさんは?」
すると、紺野の様子が少し変わった
「俺の家族は・・・・空襲で死んだんだ・・・その知らせの電報を受けとった時は信じられなかった・・
戦争だと割りきろうとしても割りきれなかった・・」
いつの間にか紺野の目には涙が溜まっていた。
紺野は涙を袖で拭い、俺に、一升瓶から俺に酒をついでくれた
「スマン、こんなしみじみして、ほら乾杯」
「お、おう乾杯」
そうして夜がふけていった。
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