序章

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夏の暑い日でした。 それはもう、熱されたアスファルトに陽炎がゆらゆら、ゆらゆらするくらいに。 刑事部捜査一課に勤務する『あなた』は、殺人事件の報を受けて現場に向かっています。 『あなた』はもうベテランなので、一人若い部下を連れ立っています。 この部下君は、最近別の部署から配属されたばかりなのですが、余り使い勝手が良くありません。 でも婦警さんたちには人気だそうです。 ……ちょっと気に入りません。 先ほど署で行われた朝の会議で、『あなた』の頭の中にはこの事件の概要は全てキッチリ収まっていましたが、部下君がどれくらいちゃんと覚えているか、車の中でテストしてやることにします。 もちろん、運転は部下君の仕事です。 部下君はハンドルを握りながら、「……えーっと」と、話し出しました。
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