序章

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「被害者は、原田チエさん、72歳、○×番地に一人暮らしをしていました」 ハイハイ。 「第一報は、交番に勤務する若い巡査さんに寄せられた一本の電話からでした」 そうですね。 この巡査さんは第一発見者です。巡査さんと後二人、巡査部長さんと原田さん宅のキーを持っていた大家さんもその場にいました。 その日の朝早く、巡査さんは派出所内の机の上を布巾で拭いているところに電話が鳴りました。 『ハイ、警察です』 『……すみません、○×番地の一人暮らしのおばあちゃんなんですが、もうずいぶん郵便受けに新聞が溜まってるんですよ』 『失礼ですが、お名前を仰っていただけま……』 カチャリ、ツーツーツー。 この電話は、不思議なことに記録が残っていませんでした。 警察に電話をかけてガチャギリしても、すぐに折り返し警察から電話が掛かって来て叱られますね?  ですが、この時はそれができなかったのです。
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