目立ちたがりや

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小学生以前の記憶はおぼろげで、あまり特記することも思いつかなかったから省略します。 まず、僕の容姿ですが、背はクラス内でも低い方で、体格は痩せぎみ、そして、髪の毛に白髪が混じっていた(いわゆる若白髪というやつです)ということを補足しておきます。 さて、僕は小学生の頃は覚えている限り、ある意味で目立ちたがりだったと思います。 人一倍正義感が強く、また、人を笑わせることが好きでした。 例えば、友達が喧嘩をしていたら止めに入ったり、わざと面白いことを言って友達を笑わせたり、といった具合です。 ですが、よく目立つ人、というのは大きく二つに分類されていくものです。 みんなに慕われ、クラスの人気者になる人と、なにかと煙たがれ、嫌がらせの対象となる人、とにです。 僕は、残念ながら後者に分類されてしまったと思います。 先に書いた通り、僕には白髪が混じっています。 小学生というのは、たいてい人の容姿を気にすることが多いのです。 きっと、まだまだ人の気持ちを知る、ということが上手くできないからですね。 僕の若白髪というのは格好の標的だったのでしょうね。 皮肉にも、僕の白髪がおかしい、という話題で僕の周りでは友達のグループができていきました。 わずかながら友達はいましたが、その友達との楽しい思い出は何一つ覚えていなくて、漠然と辛かった、ということしか覚えていません。 その頃、僕は一、二回学校に行くことを拒みましたが、先生の説得や母さんの説得などでなんとか不登校にはなりませんでした。 その時、先生がその嫌がらせをしていた生徒を叱ってくれたらしく、それ以降その学年の間は嫌がらせが発生することはありませんでした。 あまり覚えてはいませんが、母さんによると、今は仲良くなっている子に相当泣かされて帰ってきたらしいです。 昔嫌がらせをされていた子と現在は仲良くなれたのは、やはり幼い小学生だからだったのか、覚えていない事が幸いしたのかは分かりませんが、不思議なものです。
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