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チャイムが鳴った。慌てて返事をしながら扉を開ける。
が…羚弥の目には独りの人物しか見えなかった。
「いらっしゃいませ…えっと初めまして榛那羚弥です。あれお友達は?」
当然問い掛ける言葉で質問として真っ先に出る言葉だった。
「織部紗羽です。初めまして…友達なら居ますよ。さぁご挨拶なさって下さい。猫之介君…」
羚弥は何気なく紗羽と名乗る人物の足元を良く目を凝らして見下ろした。
尻尾が揺れている。ホワイトグレーの毛並みにシマシマの黒い線が特徴的なアメショーと呼ばれる猫が人見知りのように、彼の足下から現れた。
「初めましてなり…猫之介ですにゃ」
「え?…ちょお友達ってこの子ですか?」
正直羚弥は面食らって後退り…眼鏡を外しゴシゴシと目を擦り再び眼鏡を掛け直すと…また猫之介を見た。
二本足で立ち紗羽の足にしっかり捕まりキチンとお辞儀をしている。
「参りましたね…まさか猫を連れてくるとは予想外ですι」
「あの何か不都合でしょうか?」
彼の頭の中は大丈夫だろうかとそればかりを考えて玄関先で立ち話も何なんで、兎に角部屋の中へ上げて落ち着く事にした。
さてどうしたものかと羚弥は本気で悩み始めた。
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