第一章

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母の病室で他愛もない話をして 呼ばれるのを待っていた。 看護婦に呼ばれ母と二人で先生が待つ部屋へ行こうと腰をあげると 「林さんは疲れるから娘さんだけでいいです」 と言われ母はブーブー言っていた。 手術後なんだから無理するなと母をなだめ 一人で先生の話を聞きに行った。 先生に今までとったMRIをならべられ 前より大きくなった癌に唖然とした。 あれだけ苦しんだ抗がん剤が効いてないのだ。 放射線をかけた部分には抗がん剤が効きにくいこと 今使っている抗がん剤自体効いていないこと 抗がん剤の種類を変えても効く可能性はほとんどないこと 腎臓が治らないうち癌治療はできないこと 腎臓がこれから著しく良くなる可能性はほぼないこと これ以上副作用に苦しむよりかだったら 少しでも長く家で過ごす事をお勧めします。 と先生は申し訳なさそうに言った。
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