彷徨(さまよ)える狼

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深紅は静かに紅い刀を抜く。 見ている者を吸い込んでしまいそうな…激しく燃える焔の柄。 「その柄……やはり貴様が最近「新・政府」に楯突いてるっていう「深紅」…だな!?」 「深紅……。そんな異名が付いたところで何も嬉しくない……」 敵へ兵士に向け、深紅は歩き始める。 そのナメた態度が堪らなく気に入らない敵兵士は刀を抜き、深紅に襲いかかった。 「生きて帰れると思うなよぉぉ!!」 敵兵士の刀が亮佑に向かったが、パシッという音を立てて沈黙が訪れた。 「えっ……?」 深紅は敵兵士の刀を人差し指と中指で挟んで受け止めていた。 「邪魔だ……」 深紅はそう呟くと敵兵士を殴り飛ばし、周りを見渡す。 (まだ襲ってくるだろうな……) 「さぁ…死にたい奴だけかかってこい」 「奴を殺せー!!」 敵兵士が深紅に一斉に襲いかかる。 すると、複数の金属音が重なり、轟音を響かせた。 「…………」 深紅は五人程の刀を一本の刀で防ぐ。 そして、深紅は敵兵士を弾き飛ばし、少しだけFORCEを上げる。 「紅牙ーコウガ」 深紅が刀を横に一閃。 焔の斬撃が深紅の刀から放出される。 焔の斬撃が当たり、十人程が倒れる。 「この「蓮」の前では如何なる敵も燃え尽きる…」 亮佑はそう言って、「蓮」の刀の切っ先を敵に向ける。 「この施設の奴らは怠けすぎている…。俺の相手なんか無理に決まってんだろうが…」 深紅はそう言うと、再び歩き始めた。 (手配書が「深紅」として出ていたからまだ命を狙う輩は少ないが…。 "あれ"で出されたらやばいかもな……) 深紅は奥へと進んでいった。
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