彷徨(さまよ)える狼

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ここ長野県は瀧澤によって廃虚の土地と化したために、長野県には結界が施され、一般人には入る事が困難とされていた。 長野県を激しいストームが包み込み、常人では砂嵐を越えるまでに屍と化すため、誰もが近寄らない。 そんな長野県に一人の少年が訪れ、ある物を探していた。 少年は黒いローブを着ていて、頭にはフードを被っていた。 「ここにも……無かったか…。……次の目的地は……」 少年は探し求めている物が無いと知ると、長野県の嵐から消えるように姿を消した。 時は流れ、ここは滋賀県。 町では毎日のように喧嘩が止む事なく繰り返されていた。 そして、一人の少年がそんな町を歩いていた。 (治安がなっちゃいない……。以前は誰かが必ず止めに入ってたのに……) 少年はそんな事を考えながら歩いていた。 だが、ふと一人の高校生の男が少年の肩にぶつかった。 「ごめんっ…!」 少年はぶつかられた側だったが、とりあえず謝った。 「気をつけんかいっ!!」 男は少年の胸ぐらを掴み、殴ろうとしたが、何かに気づき、少年の腰辺りを見た。 「んっ?」 少年は「紅い刀」を腰に下げていた。 (紅い刀…!?まさか!?) 男は慌てて少年を離し、そそくさと逃げていった。 (喧嘩にならなくてよかった…) 少年は服に付いた埃を払うと、再び歩き出した。 しばらくして、少年が訪れた場所。 それは國丞高校……跡。 そして、少年は少年が作ったであろう慰霊碑に手を合わせた。 すると、そこに新たな来客が来た。 年は少年と同じぐらいの女の子。 常人なら気づかない程に気配が薄かったが、少年は気づいていた。 そして、少年はゆっくりと口を開き、呟いた。 「………咲子か」 ――咲子。 そう呼ばれた女の子は軽く微笑むと、少年に話しかけた。 「やっぱり来てたんだね………亮佑。」
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